もう1人

ヒト1人の中には2つの人格があると思う。とは言っても二重人格なんて大層なものじゃないが、「ポジティブ」と「ネガティブ」ぐらいの差で、2人。先天的にどっちかが強かったり、後天的にどっちかが潰れることはあっても、環境やら人間関係やらの影響を受けて、大抵真ん中あたりで揺れてるんじゃないかな。

ぼくは後天的に「ポジティブ」が傷付いて死んだ、と思っていたけど、本当に苦しんで、生きている意味が分からなくなった時、そいつがふと復活することがある。ポジティブの亡霊に上手いこと慰められて、1時間ほど熱い涙を流して、それが冷えた頃に風呂で顔を洗って、明日も生きていこうとか思えるようになる。そういう話を冗談半分にすると「そういうのも含めてお前なんだから自信持てよ」みたいなことを言われるけど、そんな前向きな思考なんか持っていないから、やっぱりそいつは何だか自分と違うやつなんだよなあ、って何となく思っている。ぼくの恋愛には毎度人格否定が付きまとったから、人生で初めて失恋した時にそいつはもう生まれていたのかもしれない。本来死ぬ筈だった明るい思考を自分からバッサリ切り離して、必要な時に助けてもらう、都合のいい精神異常者になれてよかった。

涙を流したら目が疲れるのはなぜだろう。そもそも涙はどこから、なぜ流れるんだろう。涙に悲しい気分を載せて流して捨てている、みたいなのは、科学を勉強する身としてはイマイチしっくりこない。まあ考えても分からないし、疲れた目を癒すためにさっきまで窓の外を眺めていた。曇り空、200m先に木の深緑、その手前にソーラーパネルが2つある。去年の今頃に見た覚えがないけど、元々あったのだろうか。気付かない間に取り付けられたのかもしれない。目の前の住宅群が知らない内に最適化されていっても、ぼくの人格とか記憶が勝手に最適化されることはないし、まあそもそも1人でメソメソ泣いてるヤツに彼女なんかできるわけないよなって今なら笑えるけど、もう纏まった文章を書くアレがなくなったので、終わります